高級ブランドの広告に黒や金が多いのも、食品のパッケージに赤やオレンジが多いのも、偶然ではありません。
色は、商品・サービスの特徴を、文章を読むより先に伝えてしまう力を持っています。
この記事では、商品・サービスに合わせた色選びとは何か、特徴を言葉から色に落とし込む手順、競合と色がかぶったときの差別化の方法までを、初心者向けに解説します。
商品・サービスに合わせた色選びの基本
まずはこの考え方が何を指しているのか、なぜ必要なのか、特徴ごとにどんな色が使われやすいのかを押さえましょう。
商品・サービスに合わせた色選びとは何か
商品・サービスに合わせた色選びとは、その商品・サービスが持つ特徴やイメージ(高級、親しみやすい、信頼できるなど)に合わせて、デザインの配色を決める考え方のことです。
人は文章を読む前に、色から「高そう」「手頃そう」「やさしそう」といった大まかな印象を受け取ります。
次の2枚は、同じ商品名・同じ文章で、配色だけを変えたものです。
PREMIUM SERUM
美容液 ルミエール
1本 30mL
詳しく見るPREMIUM SERUM
美容液 ルミエール
1本 30mL
詳しく見る同じ商品・同じ文章でも、配色で受ける印象が変わる
左の黒と金の見本からは「高級」「特別」、右の淡いピンクの見本からは「やさしい」「かわいい」という印象を受けるのではないでしょうか。
どちらが正しいかではなく、商品の特徴に合った色を選ぶことが大切です。
なぜ商品・サービスの特徴を基準に色を選ぶのか
どれだけ良い商品でも、色から受ける印象が実際の特徴とずれていると、ユーザーに誤った印象を与えてしまいます。
たとえば高価な美容液がパステルカラーだけで紹介されていると、「手頃な商品かな」と受け取られ、価格を見て驚かれるかもしれません。
「なんとなくきれいな色」ではなく、商品・サービスの個性を根拠にして色を選ぶと、伝わり方がぶれず、ほかの商品との違いも出しやすくなります。
特徴を表す言葉と、よく使われる色の早見表
商品の特徴を表す代表的な言葉と、その印象を出すためによく使われる色をまとめました。
| 伝えたい特徴 | よく使われる色 | 使われやすい商品・サービスの例 |
|---|---|---|
| 高級感・特別感 | 黒 金 紫 | 化粧品、腕時計、ホテル |
| 信頼・誠実 | 紺 青 グレー | 銀行、保険、IT・業務サービス |
| 自然・健康・オーガニック | 深い緑 若葉色 木・土の茶色 | 自然派化粧品、野菜の宅配、アウトドア用品 |
| 清潔・シンプル | 白 淡い水色 | 医療・歯科、洗剤、家電 |
| かわいい・やさしい | 淡いピンク ラベンダー | ベビー用品、スイーツ、雑貨 |
| 元気・活発 | オレンジ 黄 | スポーツ、子ども向け、イベント |
| おいしさ・食欲 | 赤 オレンジ 黄 | 飲食店、食品、デリバリー |
| 和・伝統 | えんじ 藍 生成り | 和菓子、旅館、日本酒 |
この表はよく見られる傾向をまとめた目安で、決まりではありません。
同じ色でも、明るさや鮮やかさの違い、組み合わせる色、見る人の年代や文化によって受け取られ方は変わります。
暖色・寒色ごとの印象は暖色・寒色とは?、見る人の好みから色を考える方法はターゲットに合わせた色選びとは?で解説しています。
商品の特徴を色に落とし込む手順
ここからは、商品の特徴を実際の配色に変えていく手順を、3つのステップで見ていきましょう。
手順1:商品の特徴を言葉で書き出す
まず、商品・サービスの特徴を、色を考える前に言葉で書き出します。
たとえば無添加の石けんなら、「自然」「やさしい」「安心」のように、3つ程度に絞るのがコツです。
言葉が多すぎると色の方向性がばらけるので、「一番伝えたい特徴はどれか」に順位をつけておきましょう。
手順2:言葉から色の候補を探す
次に、書き出した言葉から色の候補を探します。
「連想される色が思い浮かばない」というときは、次のような手がかりを使うと見つけやすくなります。
- 上の早見表から選ぶ:
書き出した言葉に近い行の色を、まず候補にします。 - 似た印象の商品を観察する:
同じジャンルの商品パッケージやWebサイトをいくつか見て、どんな色が多いかを確かめます。
色をそのまま真似するのではなく、「この業界ではこの色が安心感につながっている」という傾向をつかむのが目的です。 - 配色ツールで言葉から探す:
Adobe Colorなどの配色ツールには、キーワードで配色の例を探せる機能があります。
「natural」「luxury」のように英語で検索すると、多くの例が見つかります(使い方は配色ジェネレーターの紹介記事で解説しています)。
候補は1色に決め打ちせず、2〜3色挙げておくと、次の手順で組み合わせを考えやすくなります。
手順3:ターゲットの好みと両立させる
最後に、商品を届けたい相手(ターゲット)の好みと、手順2で選んだ色を両立させます。
たとえば「20代女性」向けの「高級美容液」を紹介する場合を考えてみましょう。
ターゲットの好みだけを見てパステルピンク一色にすると、親しみやすさは出ても、高級感が伝わりません。
反対に、商品の特徴だけを見て黒と金一色にすると、高級感は出ても、ターゲットには堅すぎる印象になることがあります。
美容液 ルミエール
購入するNG:ピンク一色で高級感が出ない
美容液 ルミエール
購入するOK:黒と金を土台に、ピンクを差し色に
商品の特徴(高級感)とターゲットの好み(ピンク)を両立させた例
右の見本のように、広い面積には商品の特徴を表す黒と金を使い、ボタンや線などの狭い部分にだけピンクを差し色として入れると、両方の印象を伝えられます。
広い面積に使う色と狭い面積に使う色の役割分担は、ベースカラー・メインカラー・アクセントカラーとは?で詳しく解説しています。
競合と色がかぶるときの差別化
業界の定番色を選ぶと、競合とよく似た配色になりがちです。ここでは、定番の安心感を残しながら自分らしさを出す2つの方法を紹介します。
同じ色みのまま、明るさと鮮やかさ(トーン)を変える
1つめは、「青」「緑」といった色みの種類(色相)はそのままに、明るさ(明度)と鮮やかさ(彩度)の組み合わせを変える方法です。
明るさと鮮やかさの組み合わせを「トーン」と呼びます。
明るく鮮やかな青
爽やか・若々しい・身近
暗く落ち着いた紺
誠実・堅実・高級
くすんだ青
穏やか・大人っぽい・上品
同じ「青」でも、トーンによって受ける印象が変わる
たとえば競合の多くが明るい青を使っているなら、自社は紺に寄せて「堅実さ」を前に出す、といった差別化ができます。
トーンの考え方は明度・彩度を使った配色とは?で詳しく解説しています。
アクセントカラーで自分らしさを出す
2つめは、全体の配色は業界の定番に合わせつつ、ごく狭い面積だけに使う目立つ色(アクセントカラー)で違いを出す方法です。
ボタンも青:競合と見分けがつきにくい
ボタンだけ黄色:信頼感を保ちつつ印象に残る
全体は青で信頼感を出し、一番押してほしいボタンだけ色を変えた例
右の見本のように、全体を青でまとめて信頼感を出しながら、一番見てほしいボタンだけを鮮やかな黄色にすると、自分らしさと目立ちやすさを両立できます。
青と黄色のように色相環(色を順番に並べて輪にした図)で向かい合う色を選ぶと、少ない面積でもよく目立ちます。
アクセントカラーの選び方と使う量は強調色の使い方とは?で解説しています。
実践のポイント
商品・サービスから色を考えるときに陥りやすい失敗と、よくある疑問をまとめます。
注意点・よくある間違い
- ターゲットの好みだけで色を決めて、商品・サービスの特徴が伝わらなくなることがあります。
手順3のように、広い面積には特徴を表す色、狭い面積にはターゲットの好む色、と役割を分けて両立させましょう。 - 競合のサイトの配色をそのまま真似してしまうことがあります。
業界の傾向をつかむのは大切ですが、トーンやアクセントカラーで自分らしさを足しましょう。 - 伝えたい特徴を全部色にしようとして、色数が増えすぎることがあります。
一番伝えたい特徴を軸にして、使う色は3色程度に絞りましょう(色数を増やしすぎない考え方とは?)。
よくある質問
- Q. 商品の特徴が複数あって、色を1つに決められないときは?
A. 手順1でつけた順位を使います。
一番伝えたい特徴の色を広い面積に使い、二番目の特徴の色は見出しやボタンなどの狭い部分に回すと、どちらも伝わりやすくなります。 - Q. 業界の定番色から外れた色を選んでもいい?
A. 選んでもかまいません。
ただし定番色には「この業界らしい」という安心感があるので、外す場合は「なぜその色なのか」を説明できる理由を持っておきましょう。
迷ったら、全体は定番色にしてアクセントカラーだけ外す方法が安全です。 - Q. 色のイメージは誰にとっても同じ?
A. 同じではありません。
年代や文化、その人の経験によって受け取り方は変わります。
早見表はあくまで出発点にして、実際に届けたい相手に見てもらい、意図どおりに伝わるか確かめるのが確実です。
まとめ
商品・サービスに合わせた色選びとは、商品・サービスが持つ特徴やイメージを根拠に配色を決める考え方です。
特徴を言葉で書き出し、言葉から色の候補を探し、ターゲットの好みと役割分担させることで、伝わる配色に仕上がります。
競合と色がかぶるときは、トーンを変えるかアクセントカラーを工夫すると、定番の安心感を残したまま自分らしさを出せます。
まずは身近な商品を1つ選び、その特徴を3つの言葉で書き出して、早見表から色の候補を挙げてみましょう。


























