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書体による印象の違いとは?明朝・ゴシックなど書体ごとの印象を見本で解説

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書体による印象の違いとは?明朝・ゴシックなど書体ごとの印象を見本で解説

同じ文章なのに、フォントを変えただけで「なんだか高級そう」「急に子どもっぽい」と感じたことはありませんか。

それは、書体そのものが見る人に特定の印象を与えているからです。

この記事では、書体による印象の違いとは何か、明朝体・ゴシック体・セリフ体などの代表的な書体がそれぞれどんな印象を持つのかを、見本と一覧で初心者向けに解説します。

書体による印象の違いの基本

まずは「書体による印象の違い」がどういう考え方なのか、そして印象がどこから生まれるのかを押さえましょう。

書体による印象の違いとは何か

書体による印象の違いとは、同じ文章・同じ内容でも、使う書体によって受け取る印象(真面目かカジュアルか、伝統的か現代的か など)が大きく変わるという考え方のことです。

書体とは、「明朝体」「ゴシック体」のように、共通のデザインのルールで作られた文字のひとそろい、つまり文字の見た目の種類のことです。

これに対してフォントは、その書体をパソコンやスマートフォンで使えるようにしたデータのことで、「游明朝」「ヒラギノ角ゴシック」のような具体的な製品名がフォントにあたります。
普段の会話ではほぼ同じ意味で使われるので、この記事では「見た目の種類=書体」と覚えておけば十分です(詳しくはフォントと書体の違いで解説しています)。

人は文字を読むとき、言葉の意味より先に、文字の形からなんとなくの雰囲気を受け取っています。

そのため、書体を変えるだけで、文章の内容を一文字も変えずにデザイン全体の雰囲気をコントロールできます。

同じ言葉でも書体で印象が変わる

実際に、同じ一文を3つの書体で並べてみると、違いがはっきり分かります。

ていねいに、長く使える道具を。

明朝体:上品・落ち着き・伝統的

ていねいに、長く使える道具を。

ゴシック体:はっきり・力強い・現代的

ていねいに、長く使える道具を。

丸ゴシック体:やさしい・親しみやすい

※書体はお使いの端末に入っているものが表示されます。丸ゴシック体は、対応する書体がない環境では通常のゴシック体で表示されます。

左の明朝体では、上質な工芸品のブランドのような落ち着いた印象になります。

中央のゴシック体では、言い切るような力強さが出て、アウトドア用品のような頼もしさを感じます。

右の丸ゴシック体では、角が取れて、家族向けの生活雑貨のようなやさしい印象に変わります。

言葉はまったく同じなのに、受け取るイメージがこれだけ変わるのが、書体による印象の違いです。

印象を生み出す3つの形の特徴

書体の印象は、主に「線の太さの差」「線の端や角の形」「手書きらしさ」という3つの形の特徴から生まれます。

これを知っておくと、初めて見る書体でも「なぜこう感じるのか」を自分で説明できるようになります。

形の特徴例生まれやすい印象
線の太さの差(縦線と横線で太さが違うか)差が大きい:明朝体・セリフ体
差が小さい:ゴシック体・サンセリフ体
差が大きい:繊細・上品
差が小さい:安定・力強い
線の端や角の形飾りや「うろこ」がある/角張っている/丸い飾りあり:伝統・格式
角張り:シャープ・現代的
丸い:やさしい・かわいい
手書きらしさ筆文字・手書き風・筆記体など温かみ・個性・勢い(ただし読みにくくなりやすい)

「うろこ」とは、明朝体の横線の右端などにある三角形の小さな山のことで、筆で書いたときの筆の止まりをかたどったものです。
漢字の「一」なら、線の右端にちょこんと乗っている三角形がうろこです。

欧文書体では、文字の線の端に付いている小さな飾りを「セリフ」と呼びます。
「T」や「I」なら、線の端に横向きに付いているヒゲや足のような部分がセリフです。

セリフがあるものをセリフ体、ないものをサンセリフ体(「サン」はフランス語で「〜がない」の意味)と呼びます。
飾りのないすっきりしたサンセリフ体は、日本語でいえばゴシック体に近い書体です。

一 TI

明朝体・セリフ体:「一」の右端にうろこ、「T」「I」の線の端にセリフがある

一 TI

ゴシック体・サンセリフ体:うろこもセリフもなく、線の端がすっきり終わる

※書体はお使いの端末に入っているものが表示されます。

書体ごとの印象一覧と見本

ここでは、Webやバナーでよく使われる書体の印象を、和文書体(ひらがな・カタカナ・漢字など日本語用の書体)と欧文書体(アルファベットなど英語用の書体)に分けて一覧にします。

どれも「絶対にこう見える」という決まりではなく、多くの人が受け取りやすい傾向として参考にしてください。

和文書体の印象一覧

和文書体は、大きく明朝体・ゴシック体・丸ゴシック体と、筆文字や手書き風などの個性の強い書体に分けて考えると整理しやすくなります。

書体の種類形の特徴受け取りやすい印象よく合う場面の例
明朝体横線が細く縦線が太い。うろこがある上品・知的・伝統的・落ち着き旅館、和菓子、書籍、高級感を出したい見出し
ゴシック体線の太さがほぼ均一。うろこがないはっきり・力強い・現代的・誠実Webサイトの本文、IT系サービス、案内表示
丸ゴシック体ゴシック体の角や線の端が丸いやさしい・親しみ・かわいい子ども向け、保育・介護、生活雑貨
筆文字(毛筆体)筆で書いたような強弱とかすれ和風・勢い・迫力・伝統和食店、日本酒、お祭り・スポーツの告知
手書き風ペンや鉛筆で書いたような揺らぎ温かみ・ていねい・親近感手作り品、カフェ、個人のメッセージ
ポップ体丸みと太さがあり、形が崩してある楽しい・にぎやか・手頃セール告知、子ども向けイベント

同じゴシック体でも、太くすると力強さが増し、細くすると軽やかで洗練された印象になります。

書体の種類だけでなく、太さによっても印象が変わる点は覚えておきましょう(太さの詳しい使い分けはウェイトによるメリハリで解説しています)。

欧文書体の印象一覧

欧文書体も、和文と同じように形の特徴から印象が生まれます。

英語のロゴや見出しを作るときは、次の見本と一覧を参考にしてください。

Handmade Coffee

セリフ体:伝統・格式・信頼感

Handmade Coffee

サンセリフ体:シンプル・モダン・中立

Handmade Coffee

スクリプト体(筆記体風):エレガント・華やか

※書体はお使いの端末に入っているものが表示されます。

左のセリフ体では、老舗の喫茶店のようなクラシックな雰囲気になります。

中央のサンセリフ体では、余計な飾りがないぶん、都会的でシンプルなカフェの印象になります。

右のスクリプト体では、ペンで書いたような流れる線が、特別な日のギフトのような華やかさを生みます。

日本語と英語を一緒に使うときは、明朝体にはセリフ体、ゴシック体にはサンセリフ体のように、形の性質が近いもの同士を組み合わせると、印象がそろってまとまりやすくなります(和文と欧文の書体の対応はフォントと書体の違いでも解説しています)。

書体の種類形の特徴受け取りやすい印象よく合う場面の例
セリフ体文字の端に小さな飾り(セリフ)がある伝統・格式・信頼・知的新聞、出版、法律事務所、高級ブランド
サンセリフ体セリフがなく、線の太さがほぼ均一シンプル・モダン・中立・親しみIT企業、アプリのUI、案内表示
スクリプト体筆記体のように文字がつながるエレガント・華やか・ロマンチック招待状、ウェディング、コスメ
ディスプレイ書体見出し用に大胆にデザインされた書体個性的・インパクト・遊び心ポスター、ロゴ、イベント告知

表の「ディスプレイ書体」の「ディスプレイ」は、パソコンの画面という意味ではなく、「見せる・目立たせる」という意味です。
かすれたスタンプ風の文字や、極端に太い文字、ネオンサインのような文字など、ポスターや看板のタイトルを大きく目立たせるために作られた個性的な書体を指します。
本文のような小さな文字には向かないので、見出しやロゴなど短い文字に使うのが基本です。

「真面目⇔親しみ」の軸で整理する

たくさんの書体を覚えるより、印象を「軸」で整理しておくほうが、実際のデザインで迷いにくくなります。

よく使う軸は、「真面目⇔親しみ」「伝統的⇔現代的」「力強い⇔繊細」の3つです。

印象の軸左寄りの印象になりやすい書体右寄りの印象になりやすい書体
真面目 ⇔ 親しみ明朝体、セリフ体、標準的なゴシック体丸ゴシック体、手書き風、ポップ体
伝統的 ⇔ 現代的明朝体、筆文字、セリフ体ゴシック体、サンセリフ体
力強い ⇔ 繊細太いゴシック体、太い筆文字細い明朝体、細いサンセリフ体

たとえば「誠実だけど堅すぎない」印象を作りたいなら、真面目寄りのゴシック体を選びつつ、少しだけ丸みのある書体を候補に入れる、というように軸の上で位置を探せます。

たとえば小児科クリニックのお知らせなら、「信頼してほしい(真面目寄り)」けれど「子どもや保護者を怖がらせたくない(親しみ寄り)」という、軸のまん中より少し親しみ寄りの位置が狙いになります。

この場合、かっちりした明朝体や丸すぎるポップ体のような両端の書体ではなく、標準的なゴシック体と丸ゴシック体を並べて見比べ、「角が少し丸くてやわらかいけれど、くだけすぎない」ものを選びます。
このように、軸の上で狙う位置を決めてから、その位置に近い書体を候補の中から絞り込んでいくのが「軸の上で位置を探す」ということです。

実践のポイント

書体による印象の違いをデザインに活かすときの考え方と、つまずきやすいポイントをまとめます。

印象を言葉にしてから見比べる

書体を選ぶ前に、まず「どんな印象を伝えたいか」を2〜3個の言葉にしておくことが大切です。

言葉がないまま書体を眺めると、「なんとなく好き」という自分の好みで決めてしまいやすいからです。

たとえば「清潔・信頼・やさしい」と書き出してから候補を並べると、「清潔と信頼ならゴシック体、やさしさを足すなら丸ゴシック体も候補」と、根拠を持って比べられます。

同じキャッチコピーを3〜4種類の書体で並べ、印象の言葉にいちばん近いものを選ぶ練習から始めてみましょう(書体を選ぶ手順全体は、見やすいフォントの選び方で解説しています)。

注意点・よくある間違い

  • 書体を「なんとなく好き」という感覚だけで選び、伝えたい印象やサービスの目的と合っているか確認しないまま使ってしまうことがあります。
    選ぶ前に、伝えたい印象を言葉にしておきましょう。
  • 1つのデザインの中に、印象の異なる書体をいくつも混ぜてしまうことがあります。
    明朝体の上品さとポップ体のにぎやかさを同時に使うと、どちらの印象も伝わらず、まとまりのない仕上がりになります。
  • 印象を優先するあまり、長い本文にまで筆文字や手書き風の書体を使ってしまうことがあります。
    個性の強い書体は読みにくくなりやすいので、見出しやロゴなど短い文字に絞りましょう。
  • 書体さえ合っていれば狙った印象になる、と考えてしまうことがあります。
    実際には、文字色や背景色、余白も印象を大きく左右します。
    高級感を出したくて上品な明朝体を選んでも、鮮やかな原色の背景に文字をぎっしり詰め込むと、安っぽい印象になりがちです。
    書体・色・余白の3つがそろって、はじめて狙った印象になると考えましょう。

よくある質問

  • Q. 書体の印象は誰が見ても同じですか?
    A. 完全に同じではありませんが、この記事で紹介した傾向は多くの人に共通しやすいものです。
    ただし、年齢や文化、その書体を普段どこで見ているかによって受け取り方は変わります。
    迷ったときは、実際に見てもらう相手に近い人に感想を聞くと確実です。
  • Q. 明朝体は古くさい印象になりませんか?
    A. 細めの明朝体を余白多めに配置すると、古くささよりも洗練された上品さが出ます。
    反対に、太い明朝体をぎっしり詰めると、伝統的・重厚な印象が強くなります。
    同じ書体でも、太さや配置で印象は大きく変わります。
  • Q. 印象の違いを見分けられるようになるにはどうすればいい?
    A. 街の看板や商品パッケージを見たときに、「この書体は何の印象を伝えようとしているか」を一言で言ってみる習慣がおすすめです。
    観察の視点や練習の手順はタイポグラフィの観察方法で紹介しています。
    書体の分類を知っておくと見分けやすくなるので、タイポグラフィ学習ロードマップの順に基礎から学ぶのも近道です。

まとめ

書体による印象の違いとは、同じ文章でも書体によって真面目・親しみ・伝統的・現代的といった受け取られ方が変わる、という考え方です。

印象は「線の太さの差」「線の端や角の形」「手書きらしさ」から生まれ、明朝体やセリフ体は上品で伝統的に、ゴシック体やサンセリフ体ははっきりと現代的に、丸ゴシック体や手書き風は親しみやすく見えやすくなります。

まずは手元のデザインのキャッチコピーを3つの書体で並べてみて、それぞれから受ける印象を一言ずつ書き出してみてください。