デザインと心理学の学習メモブログ

短期記憶に効果が出るマジカルナンバーの法則とそのWebサイトへの応用

短期記憶に効果が出るマジカルナンバーの法則とそのWebサイトへの応用

短期記憶のマジカルナンバーの法則とWebデザインへの応用について解説します。

これにより、ユーザーの認知負荷を減らし、使いやすさを向上させることができます。

マジカルナンバーの法則とは(7 ± 2論文)

マジカルナンバーの法則によると、人間が短期記憶で同時に保持できる情報の単位(チャンク)の数は、7 ± 2(つまり5~9個)であるとされています。

心理学者ジョージ・A・ミラー(George A. Miller)が1956年に提唱されました。

「チャンク」とは、

情報の最小単位であり、数字や文字、単語など、まとまりとして認識されるものです。

たとえば:

  • 電話番号「123-4567」のように数字をグループ化すると、覚えやすくなる。
  • 「CAT」という3文字を単語として覚える場合、1つのチャンクとして処理される。

マジカルナンバー4±1(4プラスマイナス1)

ミラーの提案した短期記憶の「チャンク」容量を再検討し、チャンク化を考慮しない純粋な記憶容量として、4±1個(3~5個)の項目を保持できると主張。

ネルソン・コーワン(Nelson Cowan, 2001年の研究)提唱

  • チャンク化による記憶の拡張を除いた「生の記憶容量」を分析。
  • 作業記憶(working memory)の枠組みで、情報処理の限界を考察。

コーワンは、記憶の測定方法が「チャンク化による容量拡張」の影響を受けやすい点に着目しました。

彼の実験では、複雑なタスクではなく、単純な視覚刺激や短いリストの記憶を分析。

なぜ「4±1」が提案されたのか?

チャンク化の効果を排除する必要性:

ミラーの「7±2」では、情報をグループ化(チャンク化)することで記憶容量が増大して見えるため、純粋な短期記憶の測定には不十分と指摘されました。

実験デザインの進化:

新しい認知心理学の実験では、情報処理や記憶をより厳密に測定する方法が開発され、「実際の短期記憶容量は4±1個程度」と再評価されました。

作業記憶との関係:

短期記憶は作業記憶の一部とされ、情報を一時的に保持し操作する能力が測定されるようになったため、「生の記憶容量」の測定が重視されました。

マジカルナンバー7±2と4±1の違い

要素マジカルナンバー7±2マジカルナンバー4±1
短期記憶の容量7±2チャンク(5~9個)4±1要素(3~5個)
対象数列や単語リストなどの意味ある情報単純な視覚刺激や未加工のリスト
用途・背景日常的な記憶やチャンク化の応用認知負荷や作業記憶の限界を測定

マジカルナンバーの応用例

以下に、Webサイト設計への応用について詳しく説明します。

ナビゲーション設計

短期記憶の限界を考慮すると、Webサイトのメニュー項目は5~9個以内に収めるのが理想的です。

適用例:

メインナビゲーションバーに項目を詰め込みすぎないことで、ユーザーがどのリンクをクリックするかを容易に判断できます。

改善点:

サブメニューやカテゴリーで階層化して、情報を整理します。

情報のチャンク化

長い文章や複雑な情報を小さな「チャンク」に分割することで、ユーザーが情報を効率的に処理できます。

適用例:

製品説明ページで、仕様、価格、特徴などをセクションごとに分ける。

ブログ記事で見出しや箇条書きを使って情報を分割。

改善点:

短い段落、リスト形式、インフォグラフィックを利用する。

フォーム設計

オンラインフォームの入力フィールド数が多すぎると、ユーザーは負担を感じます。

短期記憶の負荷を減らすために、ステップごとに分けるデザインが有効です。

適用例:

一度に表示される入力項目を5~9個以下に制限。マルチステップフォームで、進行状況を視覚的に示す。

改善点:

プレースホルダーやツールチップで補足情報を提供。

検索結果の表示

検索結果や製品リストが多すぎると、ユーザーは選択肢過多に陥ります。

適用例:

ページごとの表示件数を7~9件に設定。

フィルターや絞り込みオプションを提供して、ユーザーが選択肢を管理できるようにする。

改善点:

レコメンデーション機能や「トップ選択」セクションを追加

CTA(行動喚起)の最適化

ボタンやリンクがあまりに多いと、ユーザーは混乱します。

重要なCTAを数個に絞ることで、効果的なアクションを促せます。

適用例:

各ページに主要なCTAを1~3個に限定。明確でシンプルなラベルを使用。

改善点:

ボタンの配置やデザインで優先順位を視覚的に示す。

モバイルデザインへの配慮

モバイルデバイスでは画面が小さいため、情報量をさらに厳選する必要があります。


適用例:

ナビゲーションをハンバーガーメニューにまとめる。スクロール中にユーザーが一度に目にする情報を制限。

改善点:

フォーカスするコンテンツを厳選し、不要な要素を削除。

まとめ

マジカルナンバーの概念をWebサイトデザインに応用することで、ユーザーの認知負荷を減らし、使いやすさを向上させることができます。

情報をチャンク化し、シンプルで直感的な構造を目指すことで、訪問者の満足度とコンバージョン率の向上が期待できます。